広島高等裁判所岡山支部 昭和37年(ネ)132号 判決 1967年10月09日
岡山市下之町二八番地
控訴人
藤原道子
同市弓之町八の一二
控訴人
藤原暉夫
同市下之町二八番地
控訴人
藤原弘
右控訴人ら訴訟代理人弁護士
森末繁雄
岡山市
被控訴人
岡山税務署長
西村隆
右指定代理人検事
村重慶一
法務事務官
福島豊
中田武夫
大蔵事務官
横田正美
浅田和男
吉富正輝
岸田雄三
右当事者間の不当課税取消請求控訴事件につき、当裁判所は次のとおり判決する。
主文
本件各控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実
一、控訴人ら訴訟代理人は、原判決を取り消す、被控訴人が控訴人らに対してした(イ)昭和三三年二月二七日付の再評価税に関する原判決添付別紙第一目録記載の各決定処分および(ロ)同年三月一日付の昭和二七年度分の所得税に関する同第二目録記載の各決定処分はいずれも取り消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とするとの判決を求め、被控訴人指定代理人は、主文同旨の判決を求めた。
二、当事者双方の事実上・法律上の陳述および証拠の関係は、次のとおり付加するほか、原判決事実摘示(ただし、原判決五枚目一〇、一一行目「福島寛吾」とあるを「福島貫吾」と、六枚目裏一行目「本件各決定成分」とあるを「本件各決定処分」と、八枚目五、六行目「所得税法第一五条の五第二項」とあるを「所得税法第一〇条の五第二項」とそれぞれ改める)と同一であるからこれを引用する。
(一) 控訴人ら訴訟代理人は、次のとおり述べた。
控訴人らと訴外藤原孝徳との間に原判決添付別紙第三目録記載の各土地(以下本件各土地という)につき贈与契約が成立したとすれば、次のとおり主張する。
(イ) 右贈与契約は、要素に錯誤があるから無効である。
藤原孝徳が、本件各土地は、都市計画によつて減歩され、そのうち三二番の土地の残地は多分一坪位にしかならないだろうというので、控訴人藤原道子が、岡山市の事情に疎かつたため藤原孝徳の言を信じて少しばかりの宅地ではしかたがないと考えてこれを贈与することにしたのである。しかしその後本件各土地は都市計画によつて減歩されていないことが判明したが、控訴人藤原道子が当時このことを知つていたならば本件贈与契約をしなかつたであろうから、この点につき錯誤があり、かつこの錯誤は贈与契約の要素に関するから右贈与契約は無効である。
(ロ) 右贈与契約は、藤原孝徳の強迫によるものであるからこれを取り消す。強迫についての事実上の主張は、原判決事実摘示請求原因二(二)の記載と同一である。
(ハ) 右贈与契約には解除条件が付いており、この条件が成就したから、右贈与契約は効力を失つている。
すなわち、都市計画の施行者に提供すべき三二番の土地の減歩坪数が極めて少量であつてその大部分が残る場合には控訴人らにこれを返還するとの条件がついていた。しかるに贈与契約の当時すでに三二番の土地の減歩は僅かに〇、五八歩にすぎないことに決定していたが、控訴人藤原道子はこの事実を知らなかつたのである。
(二) 被控訴人指定代理人は、控訴人等訴訟代理人主張の右事実はすべて否認する、と述べた。
(三) 控訴人ら訴訟代理人は、当審証人吉田孝一、同福島貫吾、同宇田妙子の各証言、当審における控訴人本人藤原暉夫の供述および岡山市に対する調査嘱託の結果を援用した。
理由
一、原判決事実摘示請求原因一の事実は、当事者間に争がない。
二、控訴人らが訴外藤原孝徳に本件土地を贈与したかどうかを審究する。
成立に争のない甲第一、第三、第八号証、乙第五号証から第七号証まで、第一〇号証、第一二号証、藤原孝徳作成部分につき成立に争がなく、その他の部分は原審および当審証人吉田孝一の証言により成立を認める甲第六号証、原審証人山崎隆平の証言により成立を認める乙第一一号証、以上の各証言、原審および当審証人福島貫吾、原審証人中山真一、原審証人藤原孝徳(第一、二回)の各証言、原審における控訴人本人藤原道子、同藤原暉夫の各供述、岡山市に対する調査嘱託の結果および弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
(イ) 藤原久兵衛は、もと本件土地および本件土地のうちの二八、二九番の各土地と地続きになつている同所二七番の第二、三四坪二合六勺、二八番の二、六坪三合六勺(以下本件土地を含めて下之町の土地という)を所有していたが、昭和二〇年一〇月二九日に死亡し、長男の藤原久信が家督相続をした。
藤原久信は、交通公社理事として東京にいたので、下之町の土地の管理を岡山市で家業の文房具商を継いでいた弟の藤原孝徳に委ねていた。
(ロ) 藤原久信は、昭和二四年四月二四日に死亡し、妻・控訴人藤原道子、長女・訴外宇田妙子、長男・控訴人藤原暉夫、次男・控訴人藤原弘が相続した。
控訴人藤原道子は、藤原久信死亡後、高松市の実家に戻つたが、同人の退職金を元手に煙草小売商をしており、生活に困窮することはなかつた。
しかし、控訴人藤原道子は、下之町の土地が岡山市商店街の中心にあるので、そこで喫茶店営業を始めようと考え、昭和二七年訴外吉田孝一を通じて藤原孝徳に返還を求めた。
(ハ) 藤原孝徳は、本件土地上に店舗を建築して営業をしていたばかりでなく、下之町の土地を父久兵衛から贈与を受けたものと考えていたのでたやすくは返還に応じなかつたが、吉田孝一の仲介によつて、控訴人藤原道子が、本人兼控訴人藤原暉夫、同藤原弘、訴外宇田妙子の法定代理人(当時これらの者は未成年であつた)として次の取極をした。
藤原孝徳は、下之町の土地(ただし三二番の土地を除く)のうち、地上に店舗がある北半分すなわち二七番の第二、二八番の二の土地を控訴人らおよび宇田妙子に返還する。
控訴人らおよび宇田妙子は、右の残りの南半分すなわち二八、二九番の各土地とこれらの土地から少し離れている三二番の土地を贈与する。
同年七月一二日付で売渡予約証書が作成され、これに基いて同年八月一二日に仮登記を経由し、ついで同年八月二〇日付で公証人の確定日附のある贈与証書(乙第六号証)が作成せられた。
(ニ) 藤原孝徳は、下之町の土地について都市計画による減歩が予想されたので、その場合には代償としていわば飛地となつている三二番の土地を提供して、その他の地続きとなつている土地が減歩されるのをさけること、あるいは下之町の土地の減歩率が平均減歩率二五パーセントより少なかつたときはその減歩不足分について、または換地確定後の地価の変動について将来換地計画のさい精算金を支払わなければならない場合には三二番の土地を換金して清算金を支払うか、土地そのものを提供しようと考えていた。
そこで藤原孝徳は、吉田を通じて控訴人藤原道子に対し三二番の土地は、都市計画による下之町の土地のうちの他の土地の減歩の代償に提供する予定であると述べ、同人も控訴人藤原道子もこれを諒解した。
前記贈与証書には三二番の土地について何らの条件も留保事項も記載されていない。
都市計画事業の施行者である岡山市長は、その後昭和三二年一二月六日下之町の土地に仮換地指定をした。右各土地の台帳地積、仮換地地積および減歩地積は次のとおりである。
土地 台帳地積(坪) 仮換地地積(坪) 減歩地積(坪)
二七番の第二 三四、二六 四三、一〇 ( 二、四八増)
二八番の二 六、三六
二八番 三三、七二 六二、一〇 一〇、五八
二九番 三八、九六
三二番 二六、一八 二五、六〇 〇、五八
右によれば、下之町の土地の減歩率は、平均減歩率の二五パーセントに足りないし、また三二番の土地は僅かに〇、五八坪減となつているにすぎないが、未だ都市計画事業が完了しておらず、換地工事等も終了していないので清算の段階にいたつていない。
以上(イ)から(ニ)までに認定した事実によれば、控訴人藤原道子は、本人兼その余の控訴人らおよび宇田妙子の法定代理人として昭和二七年八月二〇日本件土地を藤原孝徳に贈与したものと認められる。控訴人本人藤原道子、同藤原暉夫の各供述および当審証人宇田妙子の証言中右認定に反する部分は乙第六、第一二号証および藤原孝徳の証言に対比して措信しない。
よつて控訴人らの原判決事実摘示請求原因二(一)(贈与契約不存在)の主張は、理由がない。
三(一) 控訴人らの原判決事実摘示二(ニ)(民法第九〇条違反)および前記(一)(ロ)(強迫による取消)の各主張について判断する。
本件贈与契約成立の経緯は、前記二に認定したとおりであつて控訴人らが主張するような事実はなかつたと認められる。右契約は民法第九〇条に違反するものではなく、藤原孝徳の強迫によるものでもない。また乙第六号証(贈与証書)は、藤原孝徳の強迫によるのではなく、控訴人藤原道子の真意に基いて作成せられたものである。福島貫吾、吉田孝一の各証言、控訴人本人藤原道子の供述により成立を認める甲第七号証の一から三まで、右証言、供述および当審における控訴人本人藤原暉夫の供述のうち前認定に反する部分は、乙第一二号証および藤原孝徳の証言に対比して措信しない。
(二) 控訴人らの原判決事実摘示請求原因二(三)(詐欺による取消)、前記(一)(イ)(錯誤による無効)および(ハ)(解除条件付契約)の主張について判断する。
前記認定事実によれば、三二番の土地については控訴人藤原道子と藤原孝徳との間に前述のような諒解が行われているにすぎない。したがつて右土地の仮換地指定による減歩は僅かに〇、五八坪にとどまるけれども、その他の土地の減歩も平均減歩率を下廻るので減歩不足分または価格変動による清算金を徴収せられる可能性があり、この清算金は、控訴人らが返還を受けた土地の分も含めて藤原孝徳が支払うことを諒解しているわけである。控訴人らがこの土地を贈与したのは藤原孝徳に欺罔されたためではなく、控訴人藤原道子の錯誤によるものでもない。また控訴人らが主張するような解除条件は、ついていない。
控訴人らの主張に副う甲第七号証の一から三まで、福島貫吾の証言および控訴人本人藤原道子の供述は、乙第六、第一二号証および藤原孝徳の証言に対比して措信し難く、他に右主張事実を認めうる証拠はない。控訴人らの右主張は失当である。
(三) 控訴人らの原判決事実摘示請求原因二(四)(利益相反行為)の主張について判断する。
本件贈与契約は、子である控訴人藤原暉夫、同弘および訴外宇田妙子の財産を処分する行為であるが、親権者である控訴人藤原道子の利益と外形的客観的に結合するものではないから民法第八二六条に違反するものではない。
たしかに甲第一、第三号証、成立に争のない甲第二号証、第四号証の一、二、第五号証および控訴人本人藤原道子の供述によれば、控訴人藤原道子は、本件土地を贈与したとき同時に返還を受けた土地の上にその後まもなく、同控訴人が単独で店舗兼居宅を建築して所有し、右土地および建物に自己が経営している訴外明菓株式会社のために訴外株式会社兵庫相互銀行に対し根抵当権を設定していることが認められるので、かかる事情が贈与契約の動機・縁由となつていると考えられないではない。しかし法定代理人と本人との利益相反の有無は、このような動機・縁由を考慮して判断すべきではない。
控訴人らの主張は失当である。
四、再評価税および譲渡所得税ならびに以上の各税の無申告加算税について審究する。
(再評価税と譲渡所得税)
(一) 控訴人らおよび訴外宇田妙子は、本件土地を贈与したのであるから、所得税法(昭和二七年八月二〇日当時施行のもの、以下同じ)第五条の二により贈与時の時価によつて資産の譲渡があつたものとみなされる。この場合、同法第九条第一項第八号によつて本件土地の時価から取得価額、設備費、改良費および譲渡に関する経費を控除して算出した金額からさらに一〇万円を控除した金額が所得税の課税標準となる。
しかし本件土地は、資産再評価法(昭和二七年八月二〇日当時施行のもの、以下同じ)第三条に定める基準日(昭和二五年一月一日)において控訴人らが所有していたもので同日以後に贈与したのであるから、同法第九条第一項により基準日現在において同法の規定により再評価を行つたものとみなされるので、所得税法第一〇条の五第二項に基き本件土地の時価から控除される取得価額、設備資、改良費および譲渡に関する経費は、本件土地の再評価額と昭和二四年一二月三一日以降に支出した設備費、改良費および譲渡に関する経費との合計額となる。この場合、控訴人らは、譲渡所得に対する所得税のほかに後述の再評価税を納めなければならない。
所得税のほかに再評価税をも納付するのは、次の理由による。
所得税の課税標準を譲渡当時の時価とすると、納税者にインフレーシヨンによる名目的利益につき納税の義務を負わせる結果となるので、所得税の課税標準を譲渡価額から資産再評価額を控除したものとし、その代りこの控除した金額については所得税率よりも低率の再評価税率を適用して再評価税を課することとし納税者の負担軽減を図つたのである。
(再評価税)
(二)(1) 控訴人らが本件土地を取得したのは前述のように昭和二四年四月二四日であるが、相続によるものであるから資産再評価法第二九条第一四号によつて被相続人である久信が取得した時期が取得の時期とみなされる。右は前にふれたように昭和二〇年一〇月二九日であるから、財産税調査時期である昭和二一年三月三日午前零時(財産税法第一条第一項第一号)以前である。資産の取得が右の時期以前の場合の再評価税額は、資産再評価法第三七条第二項により後述する再評価差額から一〇万円を控除したものに同法第四四条所定の税率、百分の六を乗じたものである。右にいう再評価差額とは、同法第四二条第四項第一項第一号により再評価額から財産税評価額を控除したものである。再評価額は、同法第二一条第二項により財産税評価額を一五倍した金額であり、この財産税評価額は、財産税法第二五条第一項、第二六条第一項により当該資産の賃貸価格に当該資産所在地の所轄税務署長が不動産評価委員会に諮問して定めた一定倍数を乗じた金額である。
以上を式に表わすと次のとおりである。
<省略>
成立に争のない乙第二号証の一、二、第三、第四号証によれば、本件土地の賃貸価格および前記一定倍数が次のとおりであることが認められる。
二八番 六七四円四〇銭 三〇倍
二九番 七七九円二〇銭 三〇倍
三二番 八六円三九銭 五〇倍
右によつて計算すると、再評価差額は、合計六七万一〇七三円となる。この計算は別紙計算表(一)のとおりである(再評価額を算出するとき、計算の便宜上一〇〇円未満の端数を切り上げているが、後に所得税の計算についてふれるように、所得税の課税標準から控除される金額であるので、納税者である控訴人に不利益とならない)。
(2) 控訴人藤原道子の相続分は、三分の一であるから、再評価差額合計六七万一〇七三円の三分の一である二二万三、六九一円が再評価差額となる。これから前記一〇万円を控除した一二万三、六〇〇円(国庫出納金等端数計算法第五条により一〇〇円未満切捨)に一〇〇分の六を乗じた七、四一〇円(同法第六条により一〇円未満切捨)が、同控訴人の再評価税額となる。
控訴人藤原暉夫および同藤原弘の各相続分は、九分の二であるから、前同様に計算すると、それぞれの再評価税額が二、九四〇円となる。
(無申告加算税)
(3) 控訴人らは、資産再評価法第四七条の定めるところにより贈与した日である昭和二七年八月二〇日の属する年の翌年、昭和二八年の二月一日から同月末日までに当該資産について再評価額、再評価差額および再評価税額等同法所定の事項を記載した申告書を所轄税務署長に提出すべきであるが、弁論の全趣旨によれば、正当の理由がないのに怠つたことが認められ、被控訴人が昭和三三年三月一日同法第六六条に基き再評価額等の決定をしたことは前述のとおりであるから同法第八〇条第一項第三号、第六六条、第六九条、第八〇条第二項、第七七条第三項により再評価税の申告期限である昭和二八年二月末日の翌日から被控訴人が右決定を通知した日(昭和三三年三月一日)までの期間が三月を超えているから、控訴人藤原道子については再評価税額、七、〇〇〇円(一、〇〇〇円未満切捨)、その余の控訴人らについては同二、〇〇〇円(右同)に一〇〇分の二五を乗じてえたそれぞれ一、七五〇円、五〇〇円が無申告加算税額となる。
(譲渡所得税)
(三)(1) 本件土地は、前にふれたように資産再評価を行つたものとみなされるので、当該資産の時価から当該資産の再評価額と昭和二四年一二月三一日以降に支出した設備費、改良費および譲渡経費を控除し、さらに所得税法第九条第一項所定の控除額一〇万円および同法第一二条所定の控除額(基礎控除)五万円を差し引いた金額が課税標準となり、これに同法第一五条第一項所定の税率を適用したものが譲渡所得税額である。
本件土地の時価を算定する方法として、相続財産の時価算定方法すなわち賃貸価格に富裕税財産評価基準によつて定められた評価倍数を乗ずる方法を採ると、乙第二号証の一、二、第三、第四号証および弁論の全趣旨によれば、昭和二六年一二月に広島国税局が作成した昭和二六年分富裕税財産評価基準に従うと、右倍数が一一五〇であると認められるので本件土地の時価合計額は、一七七万〇、九八八円となり、これから再評価額合計七一万九、〇〇〇円(これ以外に控除すべきものはない)を控除した一〇五万一九八八円が本件土地の譲渡所得となる。この計算は、別紙計算表(二)のとおりである。
(2) 控訴人らの各相続分に従い本件土地についての譲渡所得額を算出すると、控訴人藤原道子は、三五万〇、六六二円、その余の控訴人らは、それぞれ二三万三、七七五円となり、これらの金額から前述の控除額合計一五万円を控除した二〇万〇六六二円、八万三七七五円が課税標準となるから、それらの所得税額は、所得税法第一五条第一項(別表第一)により五万円、一万六、七五〇円であることが明らかである。
(無申告加算税)
(3) 被控訴人らは、所得税法第二六条により昭和二八年二月一日から同月末日までに所得税の確定申告をすべきであるが、弁論の全趣旨によれば、正当の理由がないのに怠つたことが認められ、被控訴人が同法第四六条第四項に基き、昭和三三年三月一日所得税額を決定したことは前述のとおりであるから、同法第五七条第三項第三号により確定申告書の提出期限の翌日である昭和二八年三月一日から被控訴人が右決定を通知した日である昭和三三年三月一日まで三箇月をこえているから、控訴人藤原道子については前記税額五万円に一〇〇分の二五を乗じた一万二、五〇〇円、その余の控訴人らについては前記税額一万六、〇〇〇円(同法第五七条第六項、第五五条第三項により一、〇〇〇円未満切捨)に一〇〇分の二五を乗じた四、〇〇〇円がそれぞれの無申告加算税額となる。
以上要するに、被控訴人が控訴人らに対してした再評価税、譲渡所得税およびそれぞれの無申告加算税の課税処分は適法である。
五、よつて控訴人らの本訴請求は、失当であるから棄却すべく、原判決は相当であるから本件各控訴を棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条、第九三条第九五条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判長判事 林歓一 判事 八木下巽 判事 西内英二)
計算表(一)
(1) 28番の土地
賃貸価格 倍数 財産税評価額
677円40銭×30=20,232円
財産税評価額 再評価額
20,232円×15=303,500円
再評価額 財産税評価額 再評価差額
303,500円-20,232円=283,268円
(2) 29番の土地
再評価額 350,700円(計算方法は(1)と同じ)
再評価差額 327,324円
(3) 32番の土地
再評価額 64,800円
再評価差額 60,481円
(4) 再評価差額合計 283,268円+327,324円+60,481円=671,073円
計算表(二)
28番の土地 賃貸価格 時価
674円40銭×1,150=775,560円
29番の土地 779円20銭×1,150=896,080円
32番の土地 86円39銭×1,150=99,348円
時価合計額 775,560円+896,080円+99,348円=1,770,988円
時価合計額 再評価合計額 譲渡所得
1,770,988円-719,000円=1,051,988円
(再評価合計額 303,500円+350,700円+64,800円=719,000円)
(計算表(一)参照)